メラノーマ(悪性黒色腫)の症状
メラノーマとは、メラノサイトという皮膚細胞に、悪性細胞が認められる状態を指します。
以下の症状のうち、1つでも該当する場合には、お早めに当院にご相談ください。
- ほくろが急に大きくなった
- ほくろの色が変わった
- ほくろの色が1色ではない、濃淡がある
- ほくろとまわりの皮膚の境界が不明瞭
- 非対称性のほくろ
- ほくろからの滲出液や出血が見られる
- ほくろがジュクジュクしている、えぐれている
- 皮膚に色素沈着が見られる
爪のメラノーマ
メラノーマは、爪にも認められます。
「爪の縦方向の黒い線」が初期症状として見られることがありますが、これは正常な爪にも発生することがあるため、医師による診断が必要です。
ただその中でも、黒い線の幅が広くなるなど、特徴的な症状がある場合には、メラノーマの疑いが強くなります。
こんな症状は要注意
- 爪の縦方向の黒い線が太くなった
- 爪のまわり(根元など)の皮膚も黒くなってきた
- 爪の変形が認められる
他の病気や薬の副作用によって、爪の変形や変色が起こるケースも見られます。気になる症状がある場合には、お気軽にご相談ください。
メラノーマの原因
メラノーマの原因は、未だはっきりしたことが分かっていません。
ただ、メラニン色素が少ない白色人種に多く発生し、黒色人種にはほとんど発生しないことから、紫外線が関係しているものと考えられます。
メラノーマになりやすい人の特徴
紫外線の影響が指摘される一方で、爪や足裏などに発生することも多いため、紫外線以外にもさまざまなリスク因子が考えられます。
以下に該当する場合には、該当しない場合と比べて、メラノーマのリスクが高いと言えます。
- 色白である
- そばかすがある
- 日焼けしやすい
- 長期にわたって強い紫外線を浴びている
- 大きなほくろがいくつかある
- 小さなほくろが多数ある
- 異常なほくろやメラノーマの既往歴がある
- 白人である、瞳の色が緑・青色
- (天然の)金髪、赤毛
悪性黒色腫が転移する確率
メラノーマは、垂直方向、つまり皮膚の深くに向かって浸潤・増殖を起こした場合には、転移する可能性が高くなります。
また、転移には、リンパ管を経由して転移する「リンパ行性転移」と、血管を経由して転移する「血行性転移」があり、メラノーマの場合は前者の割合が高く、リンパ節に転移する確率は日本人の場合約4分の1にのぼると言われています。
メラノーマの診断方法
メラノーマの診断では、拡大鏡(ダーモスコープ)による検査が重要になります。
また、病変の一部を切除して病理組織検査ということは少なく、通常は全体を切除する切除生検が行われます。
メラノーマの場合、生検によって進行が早まることがあるためです。
その他、進行の程度を調べるため、CT検査、PET検査も行います。
メラノーマの治療
手術
メラノーマの治療の基本は、外科的な切除です。病変を取り切ることが重要になるため、病変から5ミリ~2センチ程度離れた部位までの切除が必要になります。
リンパ節転移が認められる場合には、リンパ節郭清も必要になります。
薬物療法
手術が難しい場合、手術後の再発予防が難しい場合には、薬物療法を行います。
以前は抗がん剤治療が主流でしたが、現在では免疫治療チェックポイント阻害薬、分子標的薬(BRAF阻害薬)の使用が基本となります。
免疫治療チェックポイント阻害薬は、免疫機能を高めることで、がん細胞を攻撃するという薬です。
ただし、免疫力が過剰に働き、肺炎・肝障害といった副作用が起こることがあります。
分子標的薬は、特定の分子を有するがん細胞のみを攻撃するという薬です。
こちらは、がんの増殖と関与するBRAF遺伝子を有するケースで使用します。副作用は、比較的少なくなります。
メラノーマの予防方法はある?
メラノーマは、その発生に紫外線が関与しているものと考えられます。
そのため、紫外線を浴びすぎないこと、日焼け止めなどで紫外線対策をすることなどが、予防につながる可能性があります。
ただ、爪や足裏など、紫外線の当たりにくい部位にもメラノーマは発生するため、紫外線対策がメラノーマの発症の予防に有効であるという確証は未だ得られていません。
早期発見するためのポイント
確実性のある予防が難しいメラノーマは、早期発見が重要になります。特に以下のようなポイント(ABCDEルール)に気をつけながら、「おかしいな」と自分で感じた時や、家族から指摘された時には、早めに皮膚科を受診するようにしてください。
A(=Asymmetry)…ほくろの形が不規則である
B(=Borderline irregularity)…まわりの皮膚との境界が曖昧なほくろ
C(=Color variation)…色ムラのあるほくろ、色調が多彩なほくろ
D(=Diameter enlargement)…ほくろが大きくなっている、直径6ミリ以上のほくろ
E(=Elevation of surface)…ほくろの表面が盛り上がっている
ほくろではなく、しみやできもののように見えることもあります。