蕁麻疹

かゆい・発疹…
蕁麻疹(じんましん)の症状とは

かゆい・発疹…蕁麻疹(じんましん)の症状とは

蕁麻疹とは、境界線が分かりやすく、かゆみを伴う発疹が出現する状態を指します。
発疹の形状は円型が多いものの、大きさはさまざまです。手のひら大にまで拡大することもあります。
そしてこの症状が、突然(夕方~夜が多い)現れ、数時間以内に何事もなかったかのように消失するという特徴を持ちます。
しばしば1回で終わらず繰り返されますが、約7割が1週間以内に、約9割が1カ月以内に治まります。

蕁麻疹の原因

蕁麻疹は、もともと皮膚組織内の細胞に蓄えられている「ヒスタミン」という物質が、何らかの要因によって放出されることを主な原因として発症します。
その放出を引き起こす要因となるものとしては、以下のようなものが挙げられます。ただし、要因が見つからない、原因不明の蕁麻疹も少なくありません。

食物

サバなどの青魚、カニ・エビといった甲殻類、豚肉などの肉、乳製品、フルーツなどの食物を食べた場合に、ヒスタミンの放出が促され、蕁麻疹を起こします。
また、その食物自体に含まれるヒスタミンが原因になることもあります。

ストレス・疲れ

慢性的・過大なストレス、過労などをきっかけにヒスタミンの放出が促され、蕁麻疹を発症することがあります。
就職や転職、引っ越し、転校など、環境が大きく変わるタイミングは特に注意が必要です。

その他

発汗、体温の上昇、寒冷などの刺激などがきっかけとなり、ヒスタミンが放出されることがあります。
ある食物の摂取と食後の運動がセットになった時のみ蕁麻疹が起こる、というケースも見られます。

誘因となる物質の例

食物 サバ・カニ・エビ・乳製品・卵製品・肉類・穀類・大豆・小麦・蕎麦 など
食品添加物 防腐剤・人工着色料 など
薬剤 抗生物質・アスピリンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬・咳止め など
植物・昆虫 ゴム・イラクサなどとの接触、ハチに刺される など
環境・刺激 運動・発汗・食物の摂取・内臓疾患・衣類との摩擦や圧迫・寒冷刺激・温熱刺激・紫外線 など

蕁麻疹と湿疹の違い

蕁麻疹と湿疹の違い

蕁麻疹と湿疹は、どちらも痒みを伴う発疹が認められます。
湿疹は、皮膚のガサガサや赤いブツブツ、水泡などが目立ち、通常は1日以上続きます。
しかし蕁麻疹は、皮膚の赤みはあるものの、盛り上がった部分が平坦に近いという見た目をしています。
また、数時間から1日以内に、急激に、何事もなかったように消失するという特徴を持ちます。その後、同様の症状が繰り返されることも少なくありません。
なお、湿疹は治まった後に色素沈着が起こることがありますが、蕁麻疹にはそれがありません。跡形もなく消失します。

蕁麻疹が出たときの対処法

蕁麻疹が現れた時には、以下のような対処・注意をしてください。
誘因が明らかな場合には、その誘因をできるだけ避けるというのが基本的な対処法です。

入浴を控え、患部を冷やす

入浴は、かゆみなどの症状を悪化させます。できるだけ避けてください。
加えて、患部を冷やすと、かゆみの軽減が期待できます。
※寒冷刺激による蕁麻疹が疑われる場合は、冷やさないでください。

刺激の少ない、ゆったりとした衣類で過ごす

締め付ける服は、摩擦の原因となり、症状を悪化させるおそれがあります。
身体と擦れにくい、ゆったりとした服装をしてください。木綿や絹などの生地がおすすめです。

触らない・掻かない

触って刺激を与えたり、掻きむしって患部に傷を作ってしまわないよう、気をつけてください。子どもも大人も、就寝中はかゆみから患部を掻いてしまいがちです。
上に述べた入浴・服装に関する対処によって、かゆみを軽減することが大切です。

早めに皮膚科を受診する

かゆみなどの症状が強い場合、皮膚症状が広範囲である場合には、できるだけ早く皮膚科を受診し、治療を受けましょう。
抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、ステロイドなどによる治療が受けられます。

アナフィラキシーに要注意

アナフィラキシーに要注意

特定の食物の摂取などによりアレルギーが誘発され、皮膚症状に加えて呼吸器や循環器の症状が現れている状態を「アナフィラキシー」と言います。
場合によっては、命が危険にさらされます。以下のような症状が現れている場合には、早急な受診が必要です。
特に、呼吸困難、嘔吐、視線が合わない、名前を呼んでも反応しないといった症状が見られる場合には、救急外来を受診してください。

  • 口やのどの違和感、かゆみ
  • 胸の不快感
  • 吐き気
  • 唇や瞼の腫れ
  • 声枯れ
  • ケンケン、コンコンといった咳
  • 喘息発作
  • 呼吸困難
  • 嘔吐
  • 視線が合わない、声かけに反応しないなどの意識障害

蕁麻疹の治し方

医療機関を受診する

医療機関を受診した場合には、以下のような検査・治療が行われます。

検査

蕁麻疹の約8割は、原因が特定できません。過労やストレスをはじめとする、さまざまな要因が重なって発症するためです。ただ、急性の場合には、基本的に検査なしで診断ができます。
原因として特定の食物や寒冷刺激などが疑われる場合には、血液検査、負荷試験などを行い、診断します。

服薬

抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などを用いた薬物療法を行います。すでに症状が消失している場合も、再発の予防に有効となります。
その他必要に応じて、ステロイド、免疫抑制剤、抗体製剤などを使用することもあります。
また原因となる物質や環境が分かっている場合には、その除去を行います。

患部を冷やす

患部を冷やす

身体が温まると、かゆみが強くなります。反対に患部を冷やすと、かゆみの軽減が期待できます。また、同様の理由で、入浴もできるだけ控えてください。シャワーを使う場合も、水温設定を下げてください。
※寒冷刺激によって起こった蕁麻疹の場合は、冷やさないでください。

肌への負担を減らす

皮膚との摩擦を軽減する、ゆったりとした作りの服を選びましょう。木綿や絹などの生地が使われているものがおすすめです。
また、かゆいからといって患部を触る、掻くといった行為は避けましょう。

睡眠を取る・ストレスを溜めない

睡眠不足やストレスは、症状を悪化させる原因になります。規則正しく生活し、しっかりと睡眠を確保するようにしてください。かゆみを抑えて良質な睡眠をとるためにも、皮膚科での治療、ご自宅での対処が重要になります。

蕁麻疹が出た時の記録をとる

蕁麻疹を引き起こす物質や環境がまだ不確かである場合には、「どんな時に蕁麻疹が出たか」を記録しましょう。
患者様の記録によって原因が特定され、なかなか治らなかった蕁麻疹が治癒した、ということも少なくありません。

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